奥田亜希子
亡き人に似た人に会い
秘めた想いを持ってホストクラブに入った冴(さえ)は思いがけず、亡くなった“ある人”に似ているホストの幻夜(げんや)に出会う。そして冴は、かつての自分がその人の死に際して、「小説みたい」と興奮に似た軽薄な感情を抱いたことを思い起こし、いま自分が抱えている問題と向き合っていく…。恋愛小説の傑作『求めよ、さらば』の奥田亜希子が、近くはない存在の死をテーマに、すれちがう人間の姿と心理を偽りなくとらえた佳作。
『バイバイ、フィクション』書評|記憶を揺さぶる読書体験(評者:原田ひ香)