朝倉かすみ
あれから八年。と、シングルマザーの立夏はいつも思う。起点となる「あれ」は、夫の不貞を原因とした離婚と、その頃にはお腹にいた一人息子の出産を指す。それからいままで、実家での両親との生活もあれば、息子と元夫とその妻との交流もあり、コロナがあって、その妻の逝去も、もちろん息子の成長もあった。激動だったはずなのに、ショート動画のように浮かんでは次のものへとめくられ消えていく、濃くて儚い時間を思う短編小説。
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