新津きよみ
短編集「家庭恐怖コレクション」の最終話。3か月前、宇都宮で一人暮らしをしていた史子が86歳で亡くなり、一人娘の聡子(62)と孫の美香(34)は、遺品整理のために史子の家を訪れるようになった。史子の夫の謙造は聡子が高校一年生の折、愛人をつくって家を出て以来、行方が知れないままだった。伴侶を亡くし、中学教師の職も引退した聡子。美香は独身のまま、企業でデザイナーとして活躍中。二人が住む上尾の自宅からは遠い一軒家をどうするか? 家じまいをすべきか、女系三代、各人の思いが交錯する。